ハラスメント加害者は加害意識を持っていないことが多いのです。職位が上位であるほど自分の主張に固執しやすく、自己の正当性を貫こうとする傾向があるように思います。そうなると被害者はより一層疲弊して内部告発へと追い込まれます。

加害側の主張が認められなかったら?

その結果、被害者の主張が受け入れられ、加害者の主張が通らなかったとき、加害者はどういった行動にでるでしょう。この場合でも、やはり恐ろしいのは内部告発です。降格などの不利益な人事処分を受けたハラスメント加害者が会社を深く恨むようになり、復讐心に燃えて会社を内部告発してしまうケースをよく耳にします。

一般的な企業であれば、パワハラで裁判になっても内部告発があっても、イメージダウンとなります。しかしパチンコ店経営の場合はそれでは済みません。告発の内容しだいでは営業停止があり得るのです。一般的な企業とは切実さの度合いが違うのです。

内部告発を防がなければならない

では、どうすれば内部告発という手段にでることを防げるのか。パワハラトラブルの当事者が会社に対してどんなときに不満を抱くかを想像してください。

  • 相談内容を漏洩され悪い噂が流れた
  • 自分の主張を会社が理解しようとしてくれなかった
  • 一方的に責任を負わされた
  • 会社からどうでもいい存在として扱われた

だいたいこんなところでしょう。だとすれば、会社の対応方法はおのずと決まってきます。

会社に恨みを抱かせないことが重要

  • 相談者の意に反して相談内容を漏らしたり、噂を流させたりしないようにする
  • トラブル当事者の主張を最後まで聴き取り、深く理解しようとする
  • 確実な証拠がない限り責任追及をしない
  • 社員の立場を尊重し円満解決を目指す

こういったことを適切に行えば、トラブル当事者が会社を恨むことにはならないでしょう。そればかりか、職場のギスギスした雰囲気が緩和されて社員の心理的ストレスが減少し、心にゆとりができてハラスメントトラブルが発生しにくくなります。その結果、社員が定着するようになり人材育成が促進されます。つまり、円満解決を目的とする適切なハラスメント対策は企業経営全般に良い影響をもたらすのです。

能力ある人材を起用しなければならない

時代の変化とともに、いずれどこの企業でも円満解決の手法へとシフトしてゆくことになりますが、組織の上層では、そのことにまだ気がついていない幹部がほとんどです。

適切なハラスメント対策を実現するためには、経営者をはじめとする社員全員がハラスメント対策の方針と仕組みをしっかり理解し、ハラスメント対策の担当者(相談対応者)には充分な能力がある者を起用し、トラブルに対しては充分に手間と時間をかけて円満解決に取り組むことが必要です。

ホール業界は慢性的な人材不足と、非営業部門の人材の層の薄さが深刻というのが実態であるように思います。ですが、法的リスクを回避するためにも、合理的な人材活用のためにも、適切なハラスメント対策に早々に着手することを強くおすすめします。

のぞみ総研では、ホール企業の風営法務とハラスメント対策の支援サービスを提供しております。外部相談窓口サービス・コンプライアンス研修・コミュニケーション指導・トラブル円満解決など、詳しくは以下へお問い合わせください。

日野孝次朗

日野孝次朗(株式会社 のぞみ総研・のぞみ合同事務所 行政書士) 
〒252-0303 相模原市南区相模大野8丁目2番6号 第一島ビル4F 
URL https://thefirm.jp/
X(Twitter) https://x.com/nozomifueihou