スリランカ(Sri Lanka)の政治・経済の中心都市であるコロンボ(Colombo)の南側の第5地区に2023年8月に開業(グランドオープンは10月)したHavelock City Mallを訪れた。

小売り、飲食、エンターテインメント(映画館、ゲームセンター等)、ウェルネス等が入る、地下2階、地上5階のショッピングモール。

〔写真:日本風に言えば「射的」。撃ち落とした的(薄い金属プレート)に応じて賞品を獲得できる〕
〔写真:クレーンゲーム中心のゲームアーケード。このほかにVRゲームコーナーがある〕

日本人の感覚からすると、イオンモール的。入居している専門店は、空港と比較すれば安い価格帯で、 Calvin Klein, Polo, Adidas, Charles & Keith, Mango, Nike and Levis といった、日本人に感覚からすると「高級というほどではない」という世界展開するブランド。価格は東京とほぼ変わらない。UNIQLOのような、これらより少し安い価格帯のお店もある。

フードコート内のカフェでMサイズのカフェラテを飲んだが、スターバックスやタリーズより少し安い程度で、東京と大差ない価格。ちなみに、このフードコートは「完全キャッシュレス」を謳っていた。キャッシュレスを使えない人は、入口のカウンターでプリペイドカードを購入しそれで各店で支払う。退室する際には同カウンターでプリペイドカードの残額を返金してもらえる。

〔写真:フードコート「Food Studio」。どことなくシンガポールのモールで見かけるフードコートの雰囲気に似ている。Food Studioの運営会社はシンガポール人経営者Tai Toon Lim氏が率いるFood Studio Holdings Pte Ltd.〕

コロンボ居住者の平均給与(年)は約231万円であることを考えると、コロンボの中間層にとって普段使いできるショッピングモールではなさそう。参考までに、末尾に平均給与(年)のデータを記載しておく。

スリランカのメディアによると開業直後には大渋滞が発生し大勢が訪れたそうだが、暑い国では涼むためにモールにやってくる人が多いので、それのみでビジネスが盛況かどうかは判断できない。ちなみに、訪れたこの平日午後はガラガラ。おそらく、涼む目的で来る人のための場所(ベンチや階段)を意図的に設けていないからだろう。

では、このショッピングモールは誰をターゲットにしているのか?
もちろん、富裕層向け。おそらく、それに加えて、モールの隣に建つ、同時に開発された50階建て・延べ床面積60万平方フィートの高層ビル『MIREKA TOWER』で働くオフィスワーカーたちだろう。ちなみに60万平方フィートは、東京ドーム(観客席を含む施設全体)の約1.2倍の広さ。

スリランカの平均給与

スリランカの平均給与(年)は4,392,084 LKR(約228万円)であるのに対して、コロンボでは4,452,205 LKR(約231万円)とやや高い。
格差が大きい国では特に、平均値はあまり参考にならない。そこで、いくつかの切り口から全土平均給与をみてみる。
業種別にみると、平均給与(年)が高いのは「管理&ビジネス」で7,442,007 LKR(約387万円)。「レストラン、旅館、パブ」では5,362,145 LKR(約279万円)。「ホテル&観光」では 4,452,205 LKR(231万円)。
職種別にみると、「ホテルマネージャー」職が9,814,350 LKR(約510万円)と「銀行の支店長」より高いが、これはおそらく外資企業が多いからだろう。「営業部長」職で3,509,767 LKR(約182万円)、「電気技師」で2,567,330 LKR(133万円)。
職歴別にみると、「20年以上」で9,716,856 LKR(505万円)、「1~2年」で1,982,368 LKR(約103万円) 。
最終学歴が「博士号」の人の平均給与は7,149,526 LKR(約372万円)。なお、最終学歴と平均年収は明らかに関連が見られる。

text be Tsuyoshi Tanaka