text by 日野孝次朗(株式会社 のぞみ総研・のぞみ合同事務所 行政書士)

名簿備え付け義務違反は非常に多い!

風営法違反処分でもっとも件数の多いのが<従業者名簿備え付け義務違反>です。従業者名簿の備え付け義務の違反には刑事罰がありうるほか、行政処分の量定はD量定に相当します。〈10日以上80日以下。基準20日の営業停止〉です。この違反のリスクと対策について説明するとやたら文字数が多くなるので、これ以上の説明は別の機会に譲ります。

重要なことは下記の3点です。

  • 風俗営業者は営業所ごとに従業者名簿を備えなければなりません。
  • 従業者名簿の管理は管理者の責任で行ってください。
  • 風俗営業所で風俗営業に従事するすべての従業員(管理者も含む)について作成してください。

「イベントの日だけ参加するライターさんについても名簿の作成が必要なのか?」といった相談をよく受けますが、これについては無用の誤解を避けるためここでは書きません。

速やかに提示しなければならない

警察職員が営業所に立ち入った際には従業者名簿の内容を確認することがよくありますので、すぐに取り出せるようにしておいてください。警察職員が立ち入った際に、名簿を速やかに提示できないと指示等の行政処分を受けることになりますから、突然の立ち入りに対応できるようにご注意ください。

名簿の書式は法律で定められておらず、紙でもデジタルデータでも構いませんが、速やかに取り出せることが重要ということを考えると、紙として印刷されたものを備えておくことをおすすめします。警察職員は予告なく不意に立ち入ってくることが多いので、従業者名簿をデータで管理をしている店舗では、いざというときにデータの所在がわからなくて指示処分を受けることがあるからです。

同じ風俗営業でも、1号から3号までの営業では公的証明資料を用いた身分確認と資料保存義務がありますが、遊技場営業(4号と5号)では身分確認義務がありません。

名簿に記載すべき情報

遊技場営業においては、従業者名簿に記載するべき従業員の情報は下記の項目です。

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 性別
  • 従事する業務
  • 採用年月日
  • 退職年月日

遊技場営業以外の風俗営業等とは記載事項に若干の相違があります。このあたりはよく誤解されるのでご注意ください。すでに退職している従業員についても、退職後3年間は保管しておく義務があります。平成26年10月17日以降は本籍の記載義務がなくなりましたので、本籍情報の記載と確認は各社独自の判断で行ってください。

従業者名簿の管理は複雑で難しいテーマですが、インターネット上の情報にも不正確な内容が散見されます。最終的にどうすればよいのか悩むポイントが多いです。

事業者の方を対象に以下で風適法に関する相談サービスを受け付けています。

◎風営法専門家による風俗事業者のための疑問と悩み電話相談(事業者用)
https://thefirm.jp/風営法電話相談/

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