2024年上半期(1-6月)の訪日外国人客数は累計 1,777万7,200人となり、過去最高を記録した2019年同期を100万人以上上回った。6月は313万5,600人(2019年同月比8.9%)で、単月として過去最高を記録した。

背景にあるのは円安で、筆者はよく外国人旅行者に話を聞くが、例外なく「特に食事が安い」と口を揃える。「東京よりも、東南アジアの首都(のカフェやレストラン)のほうが高かった」という声もある。このような状況なので、日本人の感覚からしたら、訪日外客の消費意欲は旺盛で、旅行消費額の伸び率は訪日客数の伸び率よりずっと高い。

2024年4-6月期の訪日外国人旅行消費額は2兆1,370億円で、コロナ禍前の2019年同期を68.6%も上回った(国土交通省観光庁「2024年4-6月期の調査結果(1次速報)」の推計)。

費目別に訪日外国人旅行消費額の構成比をみると、宿泊費が33.0%と最も多く、次いで買物代(31.1%)、飲食費(21.8%)の順で多い。宿泊費の構成比は2019年同期比で4.1ポイント増、買い物代の構成比は5.7ポイント減、飲食費は0.7ポイント減。

〔図:娯楽等サービス費の支出は、買物代のわずか8分の1にすぎない。〕

訪日外国人(一般客)1人当たり旅行支出は23万9千円と推計される(日本に来るための旅費は含まない)。国籍・地域別にみると、フランス(41万8千円)、英国(41万7千円)、オーストラリア(40万円)の順で高い。逆に、近隣のアジア国からの旅行者の支出は低い傾向にある。
訪日外客数(延べ)を国別に見ると、最も多いのは韓国からの旅行者だが、韓国からの旅行者の1人あたり旅行支出額は平均の半分以下の10万7千円(1泊あたりでは28,850円)。

気になるのは、〈娯楽等サービス費〉支出の少なさで、旅行支出における構成比は3.7%(1人あたり平均8,890円)。これは〈買物代〉のわずか8分の1にすぎない。平均泊数は8.5日なので、1泊あたりの〈娯楽等サービス費〉支出はわずか1,045円という計算になる。

1泊あたりの〈娯楽等サービス費〉の支出が多いのはオーストラリア(1,517円)、米国(1,334円)からの旅行者。もっとも多い韓国からの旅行者の〈娯楽等サービス費〉支出は1泊あたり1,240円で、平均よりやや多い。

〈娯楽等サービス費〉支出の少なさは、カジノやショーなどのエンタテインメントが少ないこともあるが、産業側のプロモーション不足という面もあるのではないか。街中に点在するパチンコ店のような娯楽施設で、30分でも1時間でも日本独自のゲームを体験してくれる旅行者が増えることを期待したい。

by Tsuyoshi Tanaka