マカオのカジノ産業の5月の総ゲーミング収益(Gross Gaming Revenue = GGR)は前月を8.9%上回るMOP 20,188 million(約3961億5100万円)だった。これは新型コロナパンデミック発生後ではもっとも高く、市場は着実に回復に向かっているといえる。

ただし、2019年の水準にはまだ遠い。2024年1月から5月までのゲーミング収益の累計はMOP 96,059 million(約1兆8849億7500万円)で、前年同期を47.9%上回っているが、2019年同期のMOP 125,691 millionと比較するといまだ76.4%にとどまっている。

Scenic panorama cityscape of Macau, China, reflected on lake at sunset. Urban night scene.

これは法律の改正により、ジャンケット事業者が集客しジャンケット事業者の与信で遊んでいたハイローラー(VIPバカラ客)が大きく減少したことが要因であるため、新型コロナパンデミック前の水準に戻るには相当の期間を要する可能性がある。

マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)が公表しているゲーム種目別の収益を見ると、2019年第1四半期(1月から3月)のVIPバカラはMOP 37,208 million、バカラはMOP 29,879 millionだった。これに対して、2024年第1四半期のVIPバカラはMOP 14,378 millionと2019年同期の38.4%。一部のVIP客がマスに移動したことなどで「プレミアム・マス」客が増えたことで、バカラは増加しMOP 34,589 millionとなった。

カジノ営業権を持つ6事業者のうちもっとも多くのシェア(24.2%、第1Q時点)を占めるSandsの場合、第1Q時点でのマカオ内の5つのカジノを合計したゲーミング収益は13億69百万USドルで2019年同期比72.7%だった。しかし、VIP客の稼働の目安(賭け総額)であるRolling Chip Volumeは54億41百万USドルで、2019年同期のわずか28.6%にとどまっている。