観光庁の統計によると、2024年の訪日外国人旅行者数は前年比47.1%(1,180万人)増の3687万人で、コロナ禍前の2019年を15.7%(499万人)も上回り過去最高となった。

〔画像〕出所:観光庁「インバウンド消費動向調査」
訪日外国人の1日当たり旅行支出は前年より増加し22.7万円に。2019年比では42.8%も増加している。

 訪日外国人旅行消費額は推計8.1兆円でこれも過去最高だった(上図参照)。これは前年比で53.4%増、2019年比で69.1%増と、人数の伸びを大きく上回った。渡航費を含まない日本国内での1人当たり旅行支出は22万7千円で、2019年比で実に43.3%も増えた。
 この旅行支出の中の「娯楽等サービス費」の支出額は1人当たり10,898円。これは「買物代」の6分の1以下。平均泊数は9.0日なので、1泊あたりの「娯楽等サービス費」支出はわずか1,210円という計算になる。日本旅行中にこの程度の支出内に抑えようとしているとは考えにくいので、コンテンツをうまく提供できていないのが原因だろう。需要開拓の余地は間違いなくあるはずだ。

〔画像〕出所:観光庁「インバウンド消費動向調査」
「娯楽等サービス費」の支出は平均10,898円で、1人当たり平均旅行支出の4.8%。1泊当たりにすると1,210円にすぎない。

多言語でパチンコを紹介

 大阪市で「Q-Bang!」の屋号でホールを展開するリタ・マークスは、昨年暮れからからインバウンド集客に本格的に取り組み始めた。「これだけ多くの外国人観光客がこの街を訪れているのに、日本でしか体験できないパチンコを遊んでもらえていない。遊んでもらう機会を逃し続けるのは得策でない」(大原泰裕代表)と、日本語・中国語・英語のトリリンガルスタッフを採用し、プロモーションを強化した。

〔画像〕Q-Bang!は旅行者がアクティビティを探す際に使うサイトにも登録

 同社は外国人観光客がよく利用するTripadvisorへの掲載のほか、インスタグラムとXで多言語配信を開始。また、〈体験ツアー〉を探す際に使われる複数のサイトにも登録し、ここからパチンコ・パチスロの遊び方講座の予約を受け付けられるようにした。このように流入経路を広げると同時に、今年1月からは外部講師によるホールスタッフの英語研修も開始した。


 「遊技説明書は置いてありますが、我々は接客業ですから、お店の中まで来た外国人の方へのお声掛けや遊技の説明くらいは英語でできるようにしておきたい」(大原社長)との考えだ。

外国人観光客にパチンコの楽しさを伝えることに特化

 昨年12月に岐阜県高山市にオープンした総台数90台の『パチパチベガス』(アムズグループ)が業界人の注目を集めたのは、わずか90台という規模だけでなく、「インバウンド需要取り込み」に振り切った業態だからだ。


 英語を流暢に喋れるスタッフが1人、簡単な英語を話せるスタッフが1人。英語を話せないスタッフもコミュニケーション力が高いため、翻訳アプリを使って遊び方の説明など対応している。
 同店が出店した場所は、岐阜県の観光スポット「三町伝統的建造物群保存地区」があるエリア。店舗前の歩道はもちろん、歴史的な建築物が残る小道には大勢の観光客の姿がある。ただし、伝統的な観光地ゆえ、さまざまな制約がある。もっとも大きな問題は、景観維持の観点から、目立つ店舗看板を設置できず存在をアピールできないことだ。そしてこのエリアの商業施設が夕方5時を過ぎる頃からシャッターを下ろしてしまうため、観光客の姿は消えてしまう。

〔画像〕パチパチベガスはパチンコを体験した外国人旅行者に積極的に声をかけて記念写真を撮っている。

 そこで『パチパチベガス』実施しているのがトリップアドバイザーとSNSでの発信だ。店内で遊んでくれた観光客には声をかけ記念写真を撮るなどし、Xやインスタグラムへの掲載許諾をもらうと同時に、彼ら自身のアカウントへの投稿を依頼している。また、日本に観光にくる外国人がよく参照しているインフルエンサーにむけてDMを送り認知を高める試みもおこなっている。